会長就任の挨拶

会長 青木清この度、2014年9月1日より青木清前会長の後任として日本心身健康科学会の会長に就任しました。しばらくの間、よろしくお願いいたします。

学会というのは、見返りを期待しない同学の士の集まりです。それはクラブとかソサエティとか呼ばれる、複数の人間の集合体です。この集まりには仲間としての共通の関心や目標があり、同じ言葉が通じる共通の文化があります。共通の用語、そして共通の文法としての研究方法論の形成へと向かいつつも、重要なのは多様性です。研究の多様性、人材の多様性を受容しつつ、新たな共通の方向へと舵を切っていく私たちがいます。

今、世界は大きく変わりつつあります。過去200年にわたって繁栄を続けてきたモノを中心とした産業革命後の社会が、コトを中心とした情報社会に変貌しつつあります。世界の各地で、宗教をはじめとした精神世界や文化が社会を変えようとしています。こうした中、身体という見える存在としての人間を主たる対象としてきた医科学が、「からだ」と「こころ」を総合的に扱うしなやかな心身健康科学へと変わっていかなければ、ひとりひとりの人間は疎外されていくことになるでしょう。

心身健康科学は、一個の人間であるとともに社会の一員である私たちが、これからの未来を切り拓いていくために必要な基盤となる科学であるということができます。健康をあつかうことは、身体疾患や障碍を扱う従来型医科学に比べてはるかに難しいことです。とはいえ、心身健康科学を支える概念はヒポクラテスの時代から長い伝統として、東洋でも西洋でも世界中で地下水脈のように続いてきました。

ここに、新たな視点からの新たな科学を作り上げていこうという同学の士が集い、本学会が成立してきました。これから前進しながら、共通な言葉で共通の理念を語ることのできる研究者をさらに集めて活発な学会活動としていきたいと考えます。

変化しつつある時代のうねりに流されない、実質的な芯のある学会づくりが必要な時です。そのためにも、会員の皆さまの創意に満ちた研究を期待し、学会へのご協力をお願いしたいと思います。

Kaichou