会長就任の挨拶

心身健康科学の未来への期待

会長 鈴木はる江 この度、2021年4月1日より久住武前会長の後任として、日本心身健康科学会第6期の会長を仰せつかりました。大変光栄に思うとともに、心身健康科学という学問の立ち上げ、日本心身健康科学会の設立、そして人間総合科学大学大学院との連携による心身健康科学の研究の発展に尽くされた久住武先生の後を引きついで、心身健康科学という現代社会において重要性が一層増している学問の発展に、学会員の皆様とともに担っていくという責任の重さに気の引き締まる思いです。

 現在、日本や世界では様々な問題に直面しています。2年前から続く新型コロナウイルス感染症の問題は、単なる感染症克服という医療問題だけでなく、行動制限による人々のストレス、対面コミュニケーションの制限に伴うインターネット使用による問題、経済活動制限による保証の問題など、人間のこころ、からだ、文化・社会に関わる多面的な問題です。さらに現代社会では、気候変動や経済格差、先進国における超高齢社会の問題など、これまでの知恵では解決が難しい問題も次々と生まれてきています。

 こうした多面的問題の対策・解決には、専門家からなる研究機関の研究情報ばかりではなく、職場や家庭、地域で人々の心身健康問題に取り組んでいる現場の関係者の方々の活動や研究報告も重要な示唆を提供すると考えます。その意味で、日本心身健康科学会の学術集会、心身健康アドバイザー講習会、サイエンスカフェなどの学会主催の集会やセミナーは、貴重な情報交換の場となっており、参加者の皆様の意見交換を介して人々の幸福に寄与する新たな知恵の創出につながっていくと期待されます。

 “「こころ」と「からだ」の働きと、その相互作用を最新の知見を踏まえて科学的・客観的に理解し、よりよく生きるための知恵を創出する”という心身健康科学の発展が今こそ望まれていると思います。この学問分野に関心・興味をもって集まった学会員の皆様とともに学会活動の充実化・活性化に取り組んでいきたいと思います。学会役員および学会事務局の方々のご尽力に感謝しつつ、学会員の皆様のご活躍と学会へのご支援を引き続きお願い申し上げます。

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